被災した身体障がい者の若者、孤児の職業訓練と経済的自立支援事業

事業実施団体名 社会サービス養蚕プロジェクト・トラスト(Social Service Sericulture Project (SSSP) Trust)
※2007年12月までは農村地域向上・エンパワメント・トラスト(Trust for Rural Upliftment and Empowerment
(TRUE))が実施
事業分野 教育、社会開発
実施地域 インド タミル・ナドゥ州ナガパッティナム県
実施期間 2005年12月~2011年12月
助成金額 計1,114.7万円
(2010年度(2011年1 -12月):115万円、09年度(2010年1 -12月):218万円、
08年度(2009年1 -12月):235万円、07年度(2008年9-12月):118万円、
06年度(2007年1-12月):310万円、05年度(2005年12月-2006年11月):118.7万円)
[更新日付:2012年9月30日]

事業の背景

支援から取り残されている障がい者

2004年12月26日の地震と津波によって、タミル・ナドゥ州ナガパッティナム県では11,324人もの方が亡くなりました。インドの津波被災地域(沿岸部)での緊急・復興支援は、政府や海外援助機関から資金援助を受けて行うものが主体で、具体的には、住居建設、漁業再開、ボートの修繕・提供、収入創出、子どもの教育支援、被災者の若者を対象と職業訓練、水・衛生プログラム、漁業コミュニティの女性への零細融資、家族や親族を亡くした被災者への心理カウンセリングなどが行われました。
一方、障がいを持つ人々は、このような支援の対象から外されがちです。ナガパティナム県内には登録された障がい者が18,000人いますが、地場産業の一つである漁業や魚介類の販売を行うことは難しく、さらに、読み書きができない人にはコンピューターなどの技術習得は困難です。そこで本事業では、貧困家庭の障がい者が経済的に自立し、、将来直面する問題に対処するための自信を高めるための事業を2005年12月に開始しました。

※本事業は、「農村地域向上・エンパワメント・トラスト(Trust for Rural Upliftment and Empowerment (TRUE))」によって開始されましたが、2008年9月より社会サービス養蚕プロジェクト・トラスト(Social Service Sericulture Project (SSSP) Trust)に引き継がれました。



事業の目的

障がい、被災を乗り越え自立を目指す

事業の達成目標:
  • 職業技術訓練を通じて障がいをもつ被災者の若者の能力を向上させる。
  • 意識啓発、キャリア・ガイダンス、カウンセリングを行い、彼らの精神的な恐れを取り除く。
  • 近隣に住む受益者の家族が自助グループを組織化することにより、マイクロ・クレジットや貯蓄環境などの経済的支援を通じた生計向上を推進する。
  • 障がい者に健康管理、医療支援を提供する。必要に応じて、専門医の診療を受けられるようにする。
長期達成目標:

(2009年~)2015年末までの7年間に、合計で少なくとも580人の受益者が持続可能な収入を得て威厳ある人生をおくることができるようにする。

事業内容

ロウソクを型からはずす訓練生(2005-2006)

縫製訓練(ナガパティナム・センター)

実践的職業訓練と融資

1.職業技術トレーニング(縫製、ろうそく作り、コンピューターの基本操作)
初年度は、75人を対象にろうそく作り、ジュート製かばんの製造、貝製小物の製造についての職業訓練を実施しました。2年目には48人を対象に縫製、コンピューターの基本操作、ろうそく作りの技術訓練を行いました。

職業訓練の開始前には、自宅に閉じこもりがちで将来に大きな不安を抱えている若者たちを対象に、同じ境遇にある仲間と共に学び合い、自信を高めることを目的とした意識啓発トレーニングを行いました。また、自治体や政府による障がい者対象のサービス(職業訓練、公営バスの無料定期券、45歳以上の障がい者年金受給資格など)を受けられるようにするため、IDカードを発行しました。

職業訓練は3年目以降も継続され、2010年12月末までに累計244人の若者が本事業の職業訓練に参加しました。2010年には事務所併設のトレーニング・センターに通うことが困難な人のために、受講生の自宅から近い場所にトレーニング・センターを2ヶ所開設し、女性を対象に縫製・刺しゅうの技術訓練を行いました。

2.多様な零細規模の自営ビジネスへの融資
2008年に、過去の訓練生約50人と保護者による受益者会合を開催し、これまでの活動と課題について意見交換を行ったところ、訓練内容に関連するビジネス(自営縫製ビジネス、自治体のタイピストとしての就職など)を始めた人がいる一方で、就職活動中か、花売りや粉ひきなどの商売を細々と行っている人も多いことがわかりました。また携帯電話の修理やチョーク製造・販売、食品加工、手押し車販売、自転車修理などの幅広い職業技術訓練の要望も出ました。
このため、2009年1月からは、ビジネスを開始・運営するための零細規模融資の提供を始め、日用雑貨店、自転車修理、ヤギ飼育、イドリー(朝食用発酵パン)製造・販売などの多様なビジネスができるよう、支援しました。

3.対象地域の拡大
2010年には対象地域を、より海岸沿いの地域(キルベラー、ナガパティナム、ティルクヴァライ)3地区に拡大しました。

事業の成果

職業技術訓練から、受益者の生活に根差したビジネスへの支援

カンナンさんは朝7時から夜10時まで店を
ほぼ1人で切り盛りする。日収は100ルピー
(約180円)

本事業のはじめの2年間は、コンピューターの基本操作、ろうそく作り(近隣の教会での市場開拓を期待)、手工芸品の製造などの職業技術訓練を中心に行ってきました。このプロセスのなかで、コンピューターには高校卒業や大学レベルの学力が求められ、競争率が高いIT系の職業に就くことはなかなか難しいこと、そして、少額でも毎日現金収入がのぞめる、自宅で始められる規模のビジネスへの支援を、受益者が強く希望していたことが分かりました。 そこで、4年目からは本事業により回転基金を設立し、15,000~27,000円の規模の融資を開始しました。

それぞれの能力に応じ、自宅で始めることができる、
日収が得られるビジネスの実践

受益者から申請書を取り付け、約束手形、返済金額および利子の集金をきちんと行うことで、回転基金を健全に運営することができました。回転基金から提供された融資額は、受益者とその家族が行う伝統的な零細規模ビジネス(縫製、魚介類販売、八百屋、軽食調理販売、日用雑貨店、ヤギ・乳牛飼育、菓子製造、薪販売、自転車修理・レンタルなど)に活用されました。

支援が届きにくい女性を優先対象に

融資対象者54人のうち、33人(約61%)が女性で、縫製、朝食販売、イベント用大型調理器具のレンタルなどの様々なビジネスに活用されました。



関連リンク

ACT年次報告2010(p.17)
ACT年次報告2009(p.22)
ACT年次報告2008(p.12)
ACT年次報告2007(p.13)

基金名 大和証券グループ津波復興基金