ACT 公益信託アジア・コミュニティ・トラスト

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2019年8月21日

【開催報告】2018年度「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」助成事業報告会

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 2019年6月22日(土)、公益信託アジア・コミュニティ・トラストの「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」インターンシップ報告会を開催しました。
 2018年度は日本の市民団体17団体が、中国、ベトナム、ネパール、モンゴル等の留学生18名をインターンとして受け入れました。この報告会では、留学生と彼らをインターン生として受け入れた団体5組に、インターンシップで実施した活動や学んだことなどについて発表していただきました。発表団体と留学生、事業に関心を持ってくださった一般の皆様、来年度応募予定の留学生など約30人が参加しました。
 開会のあいさつとして、ACT事務局長(ACC21代表理事)の伊藤道雄が、「留学生の皆さんは、社会の『宝』である」と述べました。出身国にいずれ帰国した後は、日本で学んだ知識・技術を活かし、母国の人びとや社会発展に寄与し、また受け入れ国である日本社会では周りの人たちは留学生の皆さんから多くを学び、そして留学期間中に培った多様な人々との繋がりを発展させていく可能性を秘めていると、その意味を説明しました。さらには、本インターンシップは、市民が主役となって社会活動を行っているNGOやNPOで行われることによって、新しい日本社会の側面とその発展過程を体験できるユニークなものであると、その特徴を強調しました。

「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」とは
 「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」は、2012年1月に設定されたACT特別基金「アジア留学生等支援基金」の助成プログラムとして2012年度から始まりました。アジアからの留学生をインターンとして受け入れ、体験学習の機会を提供する日本の民間非営利組織の事業を対象に、年間約25件(助成総額650万円前後)助成しています。 2012年度から2018年度までの6年間に、アジア14ヶ国からの留学生129名が、79団体でインターンを経験しました(2019年2月末現在)。


活動報告

(特活)関西国際交流団体協議会 (国際協力)


指導担当者:川上 知都子さん
インターン生:シン・セイウさん(中国出身、大阪大学大学院)

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 1984年に設立された(特活)関西国際交流団体協議会は、平和、人権、貧困、環境など地球規模ならびに地域社会における課題解決を通して、豊かな地球市民社会多文化共生社会の実現をめざすNPOの連合体です。関西2府4県に拠点を置く主要なNPOが加盟し、行政や企業、教育機関、国際機関と連携し、NPOの基盤強化と、市民の意識啓発やNPO活動への参加促進に努めています。 主な事業活動はNGO・NPO、他分野、他機関との連携イベントであるワン・ワールド・フェスティバルの開催、若者育成、多文化共生事業、外国語による読み聞かせ会等です。
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 シンさんは、中国人留学生として日本における多文化共生と平等の実現を通じて国際協力に貢献することと、大学院での研究だけでは触れることができない実際に起きている社会問題と直面し、NPO・NGOの役割を知ることを目的に参加しました。10月~12月上旬の2ヶ月間、関西国際交流団体協議会の会員団体の調査、英語による読み聞かせの参加、メンバー団体4団体へのインタビュー、ワン・ワールド・フェスティバル報告書のまとめなどを行いました。
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オイスカ訪問、インタビュー実施





 会員団体の調査においては、とりわけSDGs(持続可能な開発目標)に向けた各団体の取り組み内容に着目し、全54団体それぞれがSDGsの達成という一つの目標に向かっていることを実感したとのことです。4団体を訪問して行ったインタビューでは、「多文化共生や外国人の人権保護について人々が努力し、互いを理解し交流することが重要であると学びました」と語りました。

(特活)多言語センターFACIL (災害救援・復興、国際協力、人権擁護、まちづくり、子どもの健全育成)


指導担当者:山口 まどかさん
インターン生:ダム・ティ・タン・ヒュンさん(ベトナム出身、大阪産業大学)

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 (特活)多言語センターFACILは、阪神・淡路大震災を契機として1999年に設立された団体です。多文化共生のまちづくりを目指し、専門分野でありながら「無償ボランティア」の領域であった翻訳・通訳をコミュニティビジネスとして展開し、地域の多言語環境と在日外国人のエンパワメントに寄与し、外国人コミュニティや地域社会・行政とのコーディネーター役を果たしています。地域を活性化させ、多文化共生社会の実現とマイノリティの社会参画促進に大きく寄与していくための多文化・多言語事業の総合的な展開をめざし、活動しています。
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 主な活動は、多言語の翻訳・通訳および観光通訳ガイドのコーディネート業務、行政、市民活動などにおける多言語企画のコンサルティング/コーディネート業務、外国人住民が安心して病院に通える医療環境の整備を目指した医療通訳派遣システムの構築と、医療通訳のコーディネート業務、多言語フォントを使用したデザイン、レイアウト編集、多言語音声収録などの業務、その他、多言語・多文化に関連したイベント企画・実施業務をしています。
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国際交流セミナー企画実施、
文化紹介、意見交換


 ベトナム出身のダムさんは、社会貢献活動やボランティアに興味があり、来日直後に困っていたときに日本の人たちに助けてもらった経験から、自身も様々な言葉や文化の壁に苦労する人々を応援したいという気持ちを持っていました。将来携わりたい仕事のヒントを見つけたいという思いもあり、多言語センターFACILでNPO団体の職場の雰囲気や仕事内容を実体験として学び、自分の特性や将来について深く考えたいという目的を持ち、2018年10月から3カ月間、週2回のペースでインターンを行いました。団体のFacebookからの情報発信を彼女が始めると、以前は業務連絡が多かった内容が、明るい文体で始まる投稿によって、より生き生きと活動が伝わるものになり、好評でした。
 医療通訳に特化した「東和通訳勉強会」では、他のベトナム人通訳者とビデオの通訳練習やロールプレイを行いました。そのほか、関連団体である「ベトナム夢KOBE」でのフィールドワークの受入れ補佐、「たかとりコミュニティセンター」の交流イベントのお手伝いなど、事務所外での活動にも積極的に参加しました。また、FACILが神戸市と共同で企画する「神戸アグリインバウンド推進事業」で稲刈りや芋掘りを体験するなど、限られた期間を最大限に使って積極的にコミュニケーションをとりました。

 このように、インターンシップ期間中、様々な挑戦をしたダムさんは、周囲の人々にも影響を与えたそうです。ある日「今日、わたし電話に出ます!」と言って、電話対応をすすんで行いました。将来日本で働きたいダムさんは、電話対応も大事な仕事のひとつと考え、「いいチャンス」と考えたとのこと。事務所には電話対応に苦手意識をもつ若い人たちも多く、FACILで働く他のインターンやアルバイトスタッフにとっても刺激となりました。どの仕事に従事することになっても、インターンシップで発揮したチャレンジ精神を持つダムさんは、きっと周りの人々にいい影響を与えてくれるでしょう。

(特活)奈良NPOセンター (災害救援・復興、国際協力、まちづくり、子どもの健全育成、環境保全)


指導担当者:反田 博俊さん
インターン生:チョ・テンゲツさん(中国出身、立命館大学)

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 (特活)奈良NPOセンターは、奈良を元気に、よりよい社会にしていこうとするNPO間のつながりを大切に、企業・行政・大学・地域コミュニティなどともにネットワークを築きながら、市民が主体となった社会の実現を目指しています。主な取り組みは、NPO法人設立相談等の支援、行政・企業・NPO等との協働事業、青少年、学生などの担い手育成事業、そしてソーシャルビジネスです。
 
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「もうひとつの学び舎終了後の会議にて


 中国出身のチョさんは、8月から翌年3月にかけて、週1~2回のペースでインターンシップに参加しました。①大学のキャンパスがある大阪市以外の関西地方についてもっと知りたい、②地域の人々と交流したい、③NPOの組織としての連携や運営について学びたい、④大学で学んだNPOについての知識を活用したい、という4つの理由でインターンシップに参加しました。なかでも印象に残ったという「もう一つの学び舎事業」では、「お菓子を科学する」というテーマで子ども向けの料理教室などに運営スタッフとして参加しました。大学で非営利組織について勉強したことがあるチョさんですが、主催者側に関わったことで、イベント講師の見つけ方や参加者への働きかけ方など、「いろいろなことを考えなければならない」ことに気づいたとのこと。また、不登校やひきこもりの子をもつ親の会「ふきのとうの会」での活動では、「粘り強く活動を続ける継続の力の大切さ」を学びました。ボランティアや参加者として関わることの多いNPOやソーシャルビジネスの活動に、運営側として参加できたことが彼女にとって貴重な学びとなったようです。
 
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 そのほかにも、インターンシップ参加前までは知らなかった「奈良の魅力」をたくさん知ることができたこと、在住外国人、障がい者、避難者など弱い立場にいる人々を守る「社会包摂機能」の重要性、そして「子どもを大切にする」といった日本の姿をみることができた、と話してくれました。「広報業務や書類業務などにも挑戦してみたかった」とインターンシップ終了後も、意欲的だったチョさん。特に関心を持った不登校やひきこもりの問題については今後も活動に参加、交流を続けたいと希望されました。



(特活)しゃらく(身体障がい者支援、社会教育)


指導担当者:大福 聡平さん
インターン生: ホウ・ギョウライさん(中国出身、立命館大学)
 
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 (特活)しゃらくが運営する神戸ソーシャルキャンパスの事業では、大学生の「学街活動」をサポートしています。学街活動とは、学生が大学の中だけで学び、ただ大学~自宅~アルバイト先を往復するのではなく、神戸の街全体をキャンパスととらえ、様々な地域コミュニティに飛び込んで主体的に街に関わる活動のことです。学街活動を通し、学生自身が成長し、多くの学びを得ることで、神戸に愛着を持ち、神戸との関わりの中で将来を選択していく学生が増えて欲しいという想いで活動しています。その一方で、「神戸の企業に就職する学生が増えること」だけが神戸ソーシャルキャンパスの想いではありません。学街活動は、関わる街や社会を知ると同時に、自分自身のことをよく知るための経験になると考えています。自分は何をしている時が楽しいのか、どんなことであれば夢中になれるのか、逆にやっていて面白くないことはあるのだろうか、と大学の中では見つからないようなことや新しい自分が、学街活動にチャレンジしていく中で見えてきます。学街活動は、学生が自身のキャリア(生き方)を考える機会でもあるのです。より多くの学生が、学街活動を通して「自分が本当にやりたいこと」を見つけられるよう、活動を続けています。
 
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中国の食や文化を伝えるイベント
「中国餃子Night」を実施

 2018年8月~10月にかけての計15日間、インターンシップに参加した中国出身のホウさんは、様々な人とチームとなってイベントやプロジェクトに関わることができる点に魅力を感じ、神戸ソーシャルキャンパスの事業を担当しました。彼が企画した「中国餃子Night」では、イベントを通じて政治、文化、価値観などの異文化を互いに理解すること、自分の文化の発信を行いました。
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 「人には異なる経歴や価値観があるから、自分にとって正しく見えるものを相手に上手く伝えるようにすることが、今後の自分の改善点です。日本人やベトナム出身の留学生とともに世界の食べ物や飲み物を販売するイベント『世界ドリンク』では、チームワークがうまく行かなかったときに、私がメンバーの交流の場を設け、不明点について話し合うようにしました。またイベントを企画した際には、想像以上に書類作成、打ち合わせ等に時間がかかることに気づき、専門的なスキルだけでなくコミュニケーション能力を意識して高めていく必要を強く認識しました」というホウさん。今回のインターンシップでの気づきや学びを生かして、今後活躍してください。

(特活)まちづくりスポット(まちづくり(地域の経済、文化の活性化)、その他(特定非営利活動団体の運営又は活動に関する連絡、助言等))


指導担当者:本間 あかりさん
インターン生:エン・ショさん(中国出身、徳島大学)※当日は本人の都合がつかず、ビデオレターでの報告となりました。

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 認定NPO法人まちづくりスポットは、岐阜県北部の飛騨地方高山市にある交流スペース「まちスポ飛騨高山」を拠点に、地域住民の「やりたい、やってみたい」をサポートすることで飛騨地域の活性化を推進しています。高山市は日本有数の観光地であり、森林率が92.8%もある環境は自然豊かで海外からの観光客も多く、世界に誇る木工産業が有名です。一方、郊外では過疎化や耕作放棄地など全国の他地域と同様の課題があり、課題解決には行政、企業、大学、金融機関など様々な組織が枠を超えて関わっていく必要があります。そこで、組織の枠を超えて活動できる「まちづくりスポット」が仲介にすることによって、様々なマッチング(仲介)を行ってきました。例えば、アレルギーの子どもを持つ母親サークルの声を地元スーパーに届け、両者を仲介しアレルギー対応食品マップの作成を実現させた活動などがあります。
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 中国出身のエンさんは、学校で出会う人々だけではなく、地域に住む人、外国から来た人と交流し、様々な人と出会い、話し合い、お互いにとって大切な思い出となることこそが人生の中で一番大事なことだと考えています。大学の夏休み期間を有意義に利用して、学校で学んだ知識を活用できるようになりたいと考え、インターンシップに参加しました。大学の就職情報ページを通じてインターンシップ事業を知ったエンさんは、『ほかのプログラムは留学生を主体にしていないものが多い中で、このプログラムでは募集要項に「留学生のみ」と書いてあり、「留学生ならではの出来事があるかな」と期待が膨らみました』とプログラムに参加を希望した理由を話してくれました。そのなかで、「まちづくりスポット」を希望した理由として、「もっといいまちを作り、人と人、人とものの繋がりを作る」というまちづくりスポットの理念を知り、「人と人のつながりを深めるというのは確かに自分がやりたいことではないか」と思ったからだといいます。
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在住外国人へのヒアリング

エンさんは8月に17日間のインターンシップを経験し、3つの活動に参加しました。まず、高山在住の外国人22人へのヒアリングです。まとめやすいようにアンケート用紙を作成したり、相手によって質問の重点を変えたりと工夫をこらしました。次に、「太陽光発電」を専門としているエンさんが講師として、親子でソーラーカーをつくるイベントを開催しました。そして、在住外国人交流会では高山に在住する外国人と交流を深めました。

 「この20日間のインターンが専門以外の世界に触れるチャンスをくれ、専門以外の可能性を見せたと言っても過言ではありません。NPOの仕事は人のための仕事であるから工学のような変わらない計算と実験で結果を出すことはできません。今まで自分の研究に夢中で、人のことを理解しよう、人の気持ちを感じようということを、あまり考えたことがありませんでした。人と人の繋がりだけは大切しなければならない、ロボットみたいな仕事をしていてはいけない。これが今回のインターンを通じて、一番強く感じたことです。皆さんからもらった経験と勇気を、自分の力になるように日々精進していきたいです」と、今後の人生の指針となるような経験をこのインターンシップで得たことを、豊かな表現で力強く語り、結んでくれました。




  以上報告会の後、受入れ団体のスタッフやインターンを経験した留学生、今年度インターンシップを行う予定の留学生、一般の皆様との間で交流の時間をもちました。 本報告会の開催に際し、ご協力をいただいた (特活)関西国際交流団体協議会の皆様にも厚く御礼申し上げます。
報告:堀部(プログラム担当)

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発表してくださった皆様、学びと経験を共有いただき、ありがとうございました 
ぜひ今後に生かしてください