ACT 公益信託アジア・コミュニティ・トラスト

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2016年6月03日

【開催報告】ACT「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」
     2015年度助成事業報告会を開催しました


 公益信託 アジア・コミュニティ・トラスト(ACT)特別基金「アジア留学生等支援基金」では、日本の大学・大学院に在籍するアジアからの留学生が日本の市民組織(非営利民間組織)でインターンを行う「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」を支援しており、これまでにアジア11ヵ国からの留学生83人が日本の市民組織でインターンシップを経験しました(2012~15年度実績)。
 2015年度は中国、マレーシア、ネパール、タイ、ベトナム等7ヶ国の留学生18名を18団体がインターンとして受け入れました。2016年5月14日、東京大学にて、このプログラムに参加した団体と留学生3組が実施内容と学びについて発表し、22名が参加しました。

―活動報告―

日中市民社会ネットワーク  (異文化交流)

指導担当: 棚田 由紀子(事務局スタッフ)
インターン生: 孫 思依(ソン・シイ)(中国出身、東京大学)

日中でどのような共通課題があるか、活動
と関連させて説明する棚田さん

 日本と同様、環境破壊や高齢化社会など、さまざまな問題を抱えている中国。問題を自ら解決し、持続可能な社会をつくる人材の育成と仕組みの強化に取り組む「日中市民社会ネットワーク」では、草の根の活動に関する情報を日本語や中国語に翻訳し、草の根活動をウェブサイトで発信するほか、自然とのふれあいを促進する研修プロジェクト、災害支援、交流イベントなどを行っています。


 中国・上海出身の孫さんは、18歳の時に来日し、東京の青い空と飲める水道水に感動しました。地元の上海では水汚染が深刻で、水道水は飲むことができず、お金を使って遠くまで行かないと青い空を見ることができません。このような環境で育った孫さんは、環境問題の解決法に関心をもつようになり、早稲田大学で環境資源工学を専攻し、その後進学した東京大学では、エアロゾルやPM2.5等の大気問題について研究しています 。


中国でも子どものころから自然教育を行う
大切さを感じたという孫さん

 孫さんは、環境問題に取り組む活動に直接関わりたい、との思いから約8ヶ月間(2015年8月~16年3月)、「中国子どもの来日キャンプ活動」の書類事前準備、イベント企画、通訳サポートをしました。"自然教育に参加することで、子どもの頃から環境に対する認識が高まり、環境問題への意識が生まれてくる。中国の人たちにも、日本の自然学校のノウハウを学ぶべきだ"と思い、「在日中国留学生向けの自然教育体験イベント」を企画しました。イベントでは、中国人留学生11名を引率してトヨタ白川郷自然学校で講義を受け、自然とふれあいました。孫さんには、研究活動に取り組まれるとともに、中国の環境問題の解決に感心を持つ人をまわりに増やし続けていくことを期待しています。




(特活)スマイルクラブ  (スポーツを通じた発達障がい児・者支援)

指導担当: 山田 亜矢子(事務次長)
インターン生: Chu Lee Yee(チュ・リー・イー)、マレーシア出身、千葉大学

長く団体に関わっている山田さんは、団体
設立や活動を拡大した経緯についても話して
くださいました

 障がい者向けのスポーツ教室や、高齢者等向けの健康体操教室、小学校や保育園での体育授業サポートなど、様々なスポーツイベントを実施している(特活)スマイルクラブは、発達障がいを持つ子どもたちが参加できる「運動が苦手な子の教室」に、日本人だけでなく外国人にも参加してほしいということで、マレーシアからの留学生チュさんを受入れました 。


医工学を専攻するチュさんは、インターン
で、コミュニケーションの大切さに気付いた
そうです

 医工学を勉強しているチュさんは、学外で日本の市民と交流し、日本の違う面を見たいと思い、2015年8月から11月までインターンとして参加しました。


 チュさんは、運動が苦手な子の教室( 発達障がい児・者のサポート)、個別運動指導教室、鉄棒教室(多動性障がい、自閉症児などを対象)では、ストレッチや簡単な運動ができるようなるように指導の補佐を行ったほか、フロアバレー交流体験会(全盲や弱視の視覚障がい者と健常者が一緒にプレイできる球技)ではアイマスクをして自らプレイヤーとして参加するなど、さまざまな教室の運営に意欲的に関わりました。



 「日本人の体育に対するスピリットとは何か」という会場からの質問に対し、チュさんは母国マレーシアと日本の体育授業を比較し、「日本の体育授業では学生たちがきちんと体を動かしています。マレーシアの授業では、運動しなくても単位をもらえます。また、部活を経験した人が多いこともあってか、みんな(日本人)は何回も練習するし、難しくても最後まで頑張るという気持ちを持っていることに感動しました」と答えました。障がいの有無を問わず人と人が助け合うこと、人間関係を良好するためにはコミュニケーションが欠かせないこと、そして、"持っていないものや欠けているものに悩むより、今持っているものをどう生かすか"を傷がい者の方々から学んだそうです。



(特活)多言語センターFACIL  (多文化共生のまちづくり)

指導担当: 平岡 いつき(インターンシップ担当)
インターン生: 陶 蕊(トウ・ズイ)、中国出身、東京大学)

神戸から駆けつけてくださった平岡さん

 (特活)多言語センターFACILは兵庫県神戸市にある(特活)たかとりコミュニティセンターのグループ団体のメンバーとして、翻訳・通訳を通じて地域の多言語環境を促進しています。主な活動は、証明書類、災害や生活に関する情報等の翻訳(日本語⇔他言語)、国際会議や商談、学校や医療現場への通訳者派遣、多言語のウェブサイトや出版物の制作などです。


 アメリカ留学中にコミュニティサービスのボランティア経験があるインターンの陶さんは、多文化共生と外国人支援に興味を持っており、日本の民間社会についての勉強、非営利組織の業務経験を希望し、2015年8月にインターンとして参加しました 。


流ちょうな日本語で神戸でのインターン
生活を語ってくれた陶さん

 中国語、日本語、英語の翻訳作業と原稿校正で、地域のイベントへの出店での補佐などの業務を経験した陶さんは、ミッションを同じくするコミュニティラジオ局である(特活)エフエムわいわいの放送番組にも出演して日本での留学生生活について話しました。また、阪神淡路大震災で大きな被害を受けた長田区を訪問し、復興、まちづくり、地域活性化関連の事業を行っている施設を訪問し、被災した建物を維持し、新しい形で活用することで、若者たちが長田区の歴史と文化を学ぶことができることを学びました。そのほか、他のインターン生とイベントを企画して、地元の料理を作り、中国の食文化を参加者に紹介しました。


 「団体のスタッフや、地域の人々、他のインターン生と交流し、イベントを自ら企画、準備、運営することで、リーダーシップ、協調性も学ぶことができました」という陶さんは、受入れ団体の会員になり、現在も翻訳作業を手伝っているそうです。



― オープンディスカッション ―
モデレーター 鈴木 真里(ACC21事務局長、ACTチーフ・プログラム・オフィサー)


学祭期間中に東京大学本郷キャンパスで行われた報告会


(1)団体と留学生の出会い、地域との交流


 3団体の指導担当者と留学生インターンに、出会った経緯と受入れ体制、受入れ団体の関係者や地域住民と接する機会などについてうかがいました。
 (特活)多言語FACILと(特活)スマイルクラブは、ACT事務局の紹介(※)でインターン生を決めたのに対し、日中市民社会ネットワークは、団体に登録している留学生ボランティアの中から候補者を探したということでした。
 今回の発表団体は、それぞれ活動地域や分野が異なり、団体関係者や地域住民と交流する機会と方法が、それぞれ特徴的でした。多言語センターFACILでは、事務所内での翻訳と校正作業を通じて団体スタッフや他のインターン生と毎日、接して取り組み、宿泊しているシェアハウスを運営している家族や、地域イベントに参加した子どもたちとも交流できました。スマイルクラブと日中市民社会ネットワークは、外部で行う活動が多いため、地域住民や活動参加者など、多くの市民と交流する機会が多かったそうです。


(2)新しく発見したこと


 「インターン活動で新しく発見したことは何ですか」という質問に、陶さんは「今回初めて関西に来ましたので、関西の言葉や文化を面白いと思いました。日本のNPOで働いたことで、ミッションに向けて働くことを実感しました。日本の家庭生活も体験できましたので、新しい発見がありました。」と答えました。
 自然学校で子どもたちと交流した孫さんは、「中国の子どもたちは、ブレーキをかけたいぐらい活発であるのに対して、日本の子どもたちは、おとなしいです。それぞれの子どもの性格を見て、どう対応するか、他のスタッフと相談しました」と振り返ました。また、大気汚染を研究し、インターン活動と共通の課題をもった彼女は、「子どもの時から自然とのふれあいで、環境問題に対する意識が高まると思います。現在は、PM2.5という、一般の人たちには難しいことを研究していますが、それを分かりやすくすることが大切だと思います」と将来の展望を語りました。
 医工学を専攻しているチュさんは、「現場のニーズを知りたくて、ニーズに応じて開発を考えていましたが、実際のところ、ロボットより、人と人の間のコミュニケーションが一番大事だと感じました」と話し、インターン活動での気付きを話してくれました。


 本プログラムに参加して感じた課題や、より良いプログラムづくりへの提案をきいたところ、「インターンが決まるまでに時間がかかってしまい、他留学生はアルバイトを空いている時間にいれる 」等、インターンの業務内容や期間についての課題が挙げられました。
 その他、当日参加者の中に、過去の受入れ団体や元インターン生もいましたので、話をうかがいました。同年度に中国人留学生を受け入れた「就職戦線異状アリ(SSI)」の代表者からは、受入れ内容についてきいたほか、2014年度に(特活)シーズ・市民活動を支える制度をつくる会でインターンを経験した中国人留学生からは、大学院での研究テーマとインターン活動が合致しており、いまでも大学院での勉強に役立っていることを話してくれました。





参加してくれた皆さんと


※ACT事務局ではインターンを希望するアジアからの留学生一覧を準備し、受入れを希望する団体に情報を提供するとともに、受入れを希望する団体の情報をインターン希望の留学生に提供し、希望者を募るマッチング活動を行っています。