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2013年5月28日

[報告]【5月10日】「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」報告会

2012年度ACT「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」の支援を受けて日本の市民団体でインターンを経験したアジア出身の留学生と、その受入れ団体の担当者による報告会を、5月10日(金)に開催しました。
このプログラムは、ACT特別基金「アジア留学生等支援基金」からの助成で実施されたもので、2012年度は24名の留学生がインターンを経験しました(詳細はこちら)。このうち関東在住の留学生6名と受入れ団体の担当者から、インターンの活動内容や学び、将来の展望などを報告していただきました。
留学生たちは、インターンを通して自信をつけ、日本の社会と市民団体の活動への理解を深めることができた、と話してくれました。また、団体担当者の方々が、留学生の発表をサポートするなど、留学生と信頼関係を築き、愛情をもって見守ってこられたことが垣間見られるなどし、報告を聞いた参加者にもご好評をいただきました。


「自分が大切だと思うことを、まず始めてみる」

ジャーさん(左)とSVAの中原さん(右)。
ジャーさんは、ACTの支援が終了した後も
SVAでのインターンを続けています

1人目の発表者は、アジアで教育支援・緊急支援に取り組む(公社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)でインターンを経験したボークッド・ワリッサラーさん(タイ出身、通称ジャーさん)。

「国際協力について実践的に学びたい」とインターンを志望したジャーさんは、タイ語文章の翻訳補助、広報、報告会運営補助、書類整理など様々な業務に携わりました。東日本大震災の被災地支援の現場を訪問する機会もあり、「津波の被害を受けた後で、とても辛いのに、被災者の方々が頑張っている姿を見て、私も頑張らなければならない」と思い、日本は支援をするだけでなく、支援される立場でもあることがわかったということでした。

そして、タイの隣国ラオス、ベトナム、カンボジアなどでのSVAの活動を知るにつれ、隣国やタイの遠隔地域について知らないことが多いことを改めて自覚したジャーさんは、今後はタイや隣国への理解を深め、教育や文化支援の重要性をより多くの人に伝えていきたいと考えているとのこと。

当初、NGOでインターンをすることに周りの友人は否定的だったそうですが、結果的にインターンを通し多くのことを得られた自身の経験から、「『私が行動しても変わらない』とは思わずに、自分が大切だと思うことを、まずは始めてみることが重要」と力強く語りました。


「人と関わることの面白さを知りました」

ポーさん(左)とグッドの長瀬さん(右)。
インタビュー形式で報告が進められました

続いて、日本国内で若者支援に取り組む(特活)グッドでインターンを経験したサンウォンパタンサクン・パウィーティダーさん(タイ出身、通称ポーさん)から報告をしていただきました。

ポーさんは、東日本大震災発生後にグッドの震災支援ボランティアに参加したことをきっかけに、インターンをすることになりました。グッドでは、引きこもりや不登校の若者を対象に、共同生活寮、交流の場(フリースペース)、国内外でのワークキャンプの運営を行っています。ポーさんは、10人以上が生活する共同生活寮の食事の準備やフリースペースでのタイ学習会の企画・運営、国内ワークキャンプへの同行などを行いました。

タイ学習会は、「日本とタイの文化の違いを知って、それをいがみ合うのではなく面白いと思ってほしい」と企画したそうです。団体職員の長瀬さんによると、ポーさんが参加したことによって「不登校や引きこもりの若者の『外国人』への苦手意識がなくなり、タイに興味を持ってくれた人が増えた」ということでした。

タイでの大学時代、グッドに集まる若者たちのように、「人の目が気になって自分から話しかけることが怖かった」というポーさん。インターンを通して様々な人と出会ったことで、友達が増え、人と関わることの面白さを知り、積極的に人間関係を広げていきたいと思うようになったそうです。

「たくさんの女性の力が合わさって、大きな力に」

高さん(右)とWE21の贄川さん(左)。
高さんはWE21には「前向きに働いて
いる女性が多い」と話していました

次に、リサイクルショップ「WEショップ」の運営とアジアでの国際協力に取り組む(特活)WE21ジャパン(WE21)でインターンを経験した高 潔薇(中国出身、コウ・ケツビ)さんから報告していただきました。

大学院で女性の社会的地位やジェンダーについて学ぶ高さんは、女性が主体的に活動するWE21で、事務所での調査・会合・アンケート整理やショップでの接客などに取り組みました。

WEショップでは、ボランティアで商品のリメイクをする80歳代の女性と出会い、とても感動したそうです。高さんは「ひとりの女性の力は小さいが、たくさんの女性の力が合わさって大きな力になる。それが、地域や環境の役に立つだけでなく、開発途上国の支援にもつながっている。インターンでは普段の学生生活では得られない経験や知識を得ました。」と、活動する意義を実感した。「高さんは、インターン活動が終わった後の今も、自宅近くのWEショップでボランティアを続けています。

インターンを始めた頃、尖閣諸島問題の報道が過熱し、中国で暴動が起きていた時期で、高さんはとても心を痛めていました。「インターンでは多くの方々が温かく接し、励ましてくださり、自信をつけることができた。これからも市民間での交流を活性化することが必要」と話してくれました。

「日本とネパールの架け橋になりたい」

ジオクさん(左)とGLMiの越川さん(右)。
「モモの会」には日本人15人が参加し、
ネパールへの理解を深めたそうです

休憩の後、国際協力NGO(特活)ジーエルエム・インスティチュート(GLMi)でインターンを経験したジオク・ラザ・バズラタヤさん(ネパール出身)が発表しました。

来日前からNGO活動に興味があったジオクさんは、「学校で学んだことを実践し、学校では学べない開発援助プログラムや日本社会のことを学びたい」とGLMiでインターンを始め、日本の学生との交流会の企画・運営、GLMiが主催するプロジェクト・サイクル・マネジメント(開発プロジェクトの管理・運営手法)に関する講座の受講、勉強会への参加などを経験しました。

3月3日に開催したイベント「モモの会」(桃の節句に、ネパールの「モモ」という肉まんに似た料理を食べて交流しようというイベント)では、企画から当日の運営まですべてを担当し、「貴重なチャレンジだった」と感謝していました。

また、「自分の仕事は自分でやる」という気持ちが強く、延長(残業)してでも仕事をする日本人の仕事に対する姿勢を学んだそうです。

今後は、日本で博士号をとった後、ネパールで大学教授になり、モバイル(携帯などの端末)を使った教育活動を行うことが夢というジオクさん。インターンを通して学んだプロジェクト・サイクル・マネジメントの手法を活用し、日本とネパールの架け橋となるような活動をしていきたいそうです。

「被災地での人権問題支援に関わり、ビジネスの基礎や、他団体の経験を学んだ」

日本社会における人権について、会場
参加者からの質問に、エイさん(左)は
「自分の国より守られているとは思うが、
女性の権利やメディアの権利に課題を感じる」
と答えました。右はHRNの浅井さん

続いて、国際人権NGO(特活)ヒューマンライツ・ナウ(HRN)で活動したエイマウンチョーさん(ミャンマー出身)が発表しました。

エイさんは、東日本大震災の被災地でボランティア活動をしたことがきっかけで、被災地にもっと関わりたいと考え、自らHRNに問い合わせ、インターンを申し出ました。被災地で活動する数多くの団体のなかでHRNを選んだのは、東南アジアの人権問題に取り組んでいるHRNで、大学で国際法などを学んでいる自らの専門性を深めたいと考えたからだそうです。

インターンでは、HRNが岩手県大船渡市で行っている法律相談会の日程調整、現地協力団体や弁護士との連絡、宿泊・交通手段の手配、などを経験しました。なかでも、宿泊・交通手段の手配では電話での連絡に苦労したそうですが、1年近く続けたことで、先方もエイさんのことを覚えてくださり、スムーズに連絡が進むようになったそうです。このようなビジネスの基礎だけでなく、他のNGOと関わったことでの学びあいもあったということでした。

インターン開始当初は、学部3年生だったというエイさんに、会場から「どうやって知識不足を補ったのですか?」という質問があがると、「わからないことはメモをして、本やインターネットで調べました。大学のゼミで学んでいる内容と重なる部分もあったため、大学で質問したりもしました」と答え、真摯に学ぶ姿勢で活動していたことがわかりました。

HRNの浅井さんは、「エイさんは大学卒業後に帰国予定ですが、今回のインターン経験をもとに、社会貢献活動や国際協力事業への関心を持ち続け、母国でも周囲をリードし社会変革を起こす人材になってほしい」と期待されていました。

「インターンで課題と感じたスキルを高め、将来は自国の発展に寄与したい」

バンさん(左)とERECONの上野さん(右)。
上野さんは「将来、バンさんがカンボジアに
戻った後に、何か一緒にプロジェクトをでき
たら」と期待されていました

最後は、アジアで環境修復保全活動に取り組む(特活)環境修復保全機構(ERECON)でインターンを経験したコン・バンさん(カンボジア出身)。

大学では農業を学んでおり、将来はカンボジアに戻り、環境に配慮した持続可能な農業・農村開発に携わりたいと考えているバンさんは、「実習で持続的農業技術を、事務局業務ではNGOの組織・事業の運営方法を、研修等では人材育成について学びたい」との理由で、ERECONでのインターンを決めました。

持続的農業技術の講義参加・実習、事務局業務の補佐、国際協力イベントでの準備・ブース運営などのほか、経理、報告、労務管理などの補佐も経験する機会もあり、「組織運営には多くの事務作業があり、それをスムーズに進めるためにマニュアルがあり、たくさんの人が関わっていることを学んだ」「NGOは企業と異なり、支援者に対して絶えず情報発信や報告を行っていくことが大切で、現地での活動の裏側で多くの仕事があることがわかった」と話しました。

また、「日本人の時間管理、仕事への姿勢、細かい点への気配り、若手の育成」などについても学ぶことが多かったと話し、今後はインターンで課題と感じた「資料作成やコミュニケーションのスキルを高め、自国の持続可能な農業の発展に寄与したい」と笑顔で締めくくりました。

最後に

参加者からは、「国内でできる素晴らしい国際交流だと感じた」、「このような交流を通じて、アジア諸国の友好と安定な関係に必ず良い役割を果たすことができると思う」、「今後、受入れを検討するにあたり、参考となった」などの感想をお寄せいただきました。
発表された留学生、受入れ団体の方々、報告会に参加してくださった皆さん、ありがとうございました。
留学生の母国と日本がともに手を携え発展し、社会を築いていこうという本プログラムは、2013年度も実施予定です。


関連リンク

2012年度の助成事業(インターン、受入れ団体の声)
2013年度「アジア留学生インターン受入れ助成プログラム」のご案内
ACTニュースレター「ACT NOW No.40」(p.1-4)